web3クエスト系サービス Layer3とクエストサービスがもたらす効果について
本記事では、web3クエスト系サービス Layer3について書いていきます。この記事を読んで興味を持った方は、ぜひLayer3を触ってみてください。
今回の記事は、以下のような構成で進めていきます。
1. web3クエスト系サービスとは何か
2.Layer3について
3.Layer3のクエストによるユーザ行動変容の効用
4.まとめ
1. web3クエスト系サービスとは何か
暗号資産やブロックチェーン、web3文脈における「クエスト」は、特定の目標やタスクを達成するための活動やチャレンジを意味します。ユーザーが「クエスト」を完了すると、暗号資産やポイントの形で報酬を受け取れます。基本的な仕組みは、web3プロジェクト側がLayer3等のアクティブユーザーを持つweb3クエスト系サービスを介して、クエストを発行することでプロジェクトへのユーザー流入を促進させるというものです。
以下が実際にLayer3で発行されている「クエスト」になります。
(1)SNSクエスト
X(Twitter)のフォロー、リポスト(RT)、いいね、Discordの参加等、SNSを使ったクエストです。
最近は、ブロックチェーンを活用した分散型SNS「Warpcast」を使ったクエストも増えてきています。
(2)オンチェーンアクティビティ(ブロックチェーン上の行動履歴)
クエスト発行主体がDEX(分散型取引所)の場合は、暗号資産のスワップや流動性提供といったオンチェーンアクティビティを残すことがクエスト完了の条件になります。
例)Optimism Network上のUniswapを介したスワップ
例)Polygon Network上のUniswapを介した流動性提供
また、クエスト発行主体がBridge protocolなら暗号資産を別のチェーンへ送るブリッジ、Lending protocolなら暗号資産の貸し借りといったオンチェーンアクティビティを残すことがクエスト完了の条件になります。
例)zkSync Network上のトークンをBungeeを介して任意のネットワークへブリッジする
例)Arbitrum Network上のUSDCをCompoundを介して貸す(供給)
(3)製品ダウンロード
ウォレットやブロックチェーンゲームのダウンロードがクエスト完了の条件になります。
例)Uniswapウォレットのダウンロード
例)ブロックチェーンゲーム「The Sandbox」クライアントのダウンロード
2.Layer3について
(1)インタラクティブなクエストサービス Layer3とは何か
Layer3は、インタラクティブなクエストによって暗号資産の学習と探索が楽しく、魅力的でやりがいのあるものになることを目指しています。ここで言うインタラクティブとは、Layer3とクエストを発行するweb3プロジェクト同士の相互作用を意味します。Layer3は110万以上のアクティブユーザーと4900万以上のオンチェーンアクション(ブロックチェーン上の行動)実績があります。この実績は、Layer3のクエストを完了した際の報酬や、オンチェーンアクションがクエストを発行したweb3プロジェクトのエアドロップに繋がり、結果としてユーザーを満足させている証明になっています。
参照:https://layer3.xyz/ecosystems
また、Layer3は2024年6月に15Mの資金調達に成功し、総額21.2M(日本円で約34億円)の資金調達している、投資家からも期待されたweb3プロジェクトになります。
(2)Layer3で得られる報酬について
Layer3で得られる報酬は、主に以下の3つです。
①CUBE
CUBEは、クエストを完了することで獲得できるERC-721トークンで、Layer3がV2になった2024年1月末のアップデートで導入された報酬です。CUBEは、クエスト完了に紐づいてオンチェーン上に発行されるため、ブロックチェーンイベントへの参加を証明する認証情報として機能します。
参照:https://app.layer3.xyz/blog/cubes-a-key-to-the-layer3-economy?slug=cubes-a-key-to-the-layer3-economy
②経験値 (XP)
経験値 (XP)を集めることでLayer3内のレベル(LV)を上げられ、レベルが一定以上のユーザーは、豪華な報酬のクエストに参加する権利が得られるという特典があります。クエストやGMというデイリーチェックイン機能で経験値 (XP)を集める事が可能です。
例)50LVに到達したユーザーのみが参加できるクエスト
③トークン
特定のクエストでは、完了するとERC-20トークンが報酬として与えられることがあります。NFTをMintしたり、Dappsを触ってオンチェーンアクティビティ(ブロックチェーン上の行動履歴)を残すだけで獲得できるものや、複数のクエストをこなす必要があるものもあります。
例)Optimism Network上でDappsを触ってオンチェーンアクティビティを残すイベント
(3)トークンエコノミクスについて
(参照:https://docs.layer3foundation.org/tokenomics)
Layer3は、L3というトークンのエアドロップを公言しており、総供給量3,333,333,333 トークンの内、7.5%をコミュニティメンバーへエアドロップすると発表しています。また、残りのコミュニティ割り当て (43.5%)に関しては、4年間に渡りレイヤードステーキングなどを通じて割り当てしていく予定です。このレイヤードステーキングは、L3をステークして受動的に追加のL3を得るパッシブステーキング、ステークすることで他のガバナンストークン(OP、ARB、DEGENなど)得られるクエストへの参加や、S1,2以降のエアドロップでのアロケーションを決める上での指標に対する乗数を獲得できる等、複数階層に渡るインセンティブがあるステーキングになっています。また、L3のリリーススケジュールに関しては、コミュニティメンバー以外の投資家(Investors)、貢献者(Contributors)、アドバイザー(Advisors)に、4年間のロックアップ期間と1年間の売却制限があり、コミュニティ有利のトークンエコノミクスになっています。
・エアドロップへの公言
・トークンエコノミクス
・コミュニティ割り当ての詳細
・レイヤードステーキングについて
・リリーススケジュール
3.Layer3のクエストによるユーザ行動変容の効用
Layer3を通して行われるオンチェーンアクティビティ(ブロックチェーン上の行動履歴)は、Duneというオンチェーン分析ツールで可視化できます。
以下のグラフは、Duneで可視化したLayer3で実行されたトランザクション数とアクティブユーザーの月別推移になります。上部が6月1日時点のLayer3上で実行されたトランザクション数で、約4500万と表示されています。また、下部は6月1日時点のアクティブユーザー数(Layer3上で実行されたトランザクションがあったウォレット数)で、約158万と表示されています。この値は、testnet(Goerli, OP Goerli, Base Goerli)のトランザクションを除外した値かつ、Cosmosでのオンチェーンアクティビティを取得していないデータになります。本データから、Layer3の公式サイトに記載のあった、110万以上のアクティブユーザーと4900万以上のオンチェーンアクション(ブロックチェーン上の行動)の実績は、testnetやCosmos等のブロックチェーンデータを含んだ値かつ、6月より前のものであることが推測できます。
・Layer3上で実行されたトランザクション数とアクティブユーザーの月別推移
・一部testnet除外したクエリ
データソース:https://dune.com/queries/3474167/5838071/
次は、Layer3を通して行われるOP Questsでのオンチェーンアクティビティ(ブロックチェーン上の行動履歴)を見ていきます。OP Questsは、Layer3上で展開されるOptimism Networkに纏わるクエストで、optimism以外にもzora, base, mode等のオンチェーンアクティビティを残せます。
・OP Quests
以下のグラフは、Duneで可視化したLayer3で実行されたOP Questsのトランザクション数とアクティブユーザーの日別推移になります。本グラフで注目すべきは、エアドロップ1のスナップショット(2024/05/10)の前後のトランザクション数とアクティブユーザーです。トランザクション数は、エアドロップ1の終了前がピークで、その後は減少しています。しかしながら、アクティブユーザー数は、エアドロップ1の終了後も堅調に増加しています。このことから、エアドロップ1のスコアを良くするための駆け込み需要で一次的な山はできたものの、CUBE導入後(2024/01/29)からトランザクション数とアクティブユーザーが右肩上がりで増加していることが読み取れます。実際にoptimismが作成したDUNEのダッシュボード内の、Optimism上で使われたコントラクトのランキング(過去30日間の日次平均)でも、Layer3のCUBEはワールドコインに次ぐ2番手となっています。
・OP Questsのトランザクション数とアクティブユーザーの日別推移
データソース:https://dune.com/queries/3430975/5762816
・Optimism上で使われたコントラクトのランキング(過去30日間の日次平均)
データソース:https://dune.com/queries/1068466/1834395
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4.まとめ
Layer3のリリーススケジュールから推測するに、2024年7月24日週にL3トークンのTGEが行われる可能性があります。日本円で約34億円も調達しているweb3クエスト系サービスのTGEの動向が楽しみです。
また、海外だと「Galxe」、日本国内では、株式会社セプテーニ・インキュベート様が提供しているオンチェーンマーケティングプラットフォーム「Ocean Dict.(オーシャンディクト)」などが、本記事で紹介したLayer3と類似のサービスだと考えております。
次回以降の記事では、「Galxe」、「Ocean Dict.(オーシャンディクト)」の分析、Layer3との比較といった内容を執筆する予定です。
執筆者:こにちゃん
最後まで読んでいただきありがとうございました。